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The main thing in life is to know your own mind.
”大切なのは、自分のしたいことを、自分で知っていること”
お正月休みで帰省していた娘から、現代美術館で開催している「ムーミン展」が前から気になっていて行きたいと聞いて、北欧好きの私としては当然断る理由はなく(笑)、年明けに一緒に行ってきました。
展示内容は、小説の挿絵の原画の数々や、トーベ・ヤンソンが風刺雑誌に挿絵を描いていたとは知らなかったのですが、その原画だったり、フィンランドのムーミン美術館に所蔵されているという、手作りのムーミンの家のドールハウスの映像が流れていたり。素描の線が美しくて、何度も同じポーズを試し描きしていたり、模索した様子なども伺えます。とても楽しい見応えのある展示でした。
タイトルの英文は、スナフキンの言葉。とても哲学的な会話の多いキャラクターだったスナフキンらしい、そして今でも頷けてしまうメッセージです。自分のことを自分で知るということは、自問自答し続けないと辿り着かないでしょうし、誰かの意見を自分の指針にしていたら気がつかないだろうと思います。自分の気持ちを尊重されるよりも、あなたの為よ、と人から意見され、自分の内側から感じるものと違いを感じながら幼少期を過ごした私は、自分のことを認めるまで少々時間がかかりました。今年、娘は新社会人として新たな節目を迎えます。娘や息子には、自分が何に興味があって、何が好きなのかを自分で感じられるようにと伝えてきたつもりだったので、そんなスナフキンの言葉が書かれたパンフレットを見ながら、娘と一緒にこの展示を観れたことが嬉しくもありました。これからも娘たちには、そんなことを意識しながら、自分らしく過ごして欲しいなと思います。
トーベ・ヤンソンが夏に過ごしていた海辺の小さな小屋には、不在の時も見えるところに「窓を壊さずに鍵を使って入って下さい」というメッセージと共に鍵が置かれていたそうです。それは、漂流して誰かがたどり着いた時に使ってもらえるようにと配慮されてのことだったとか。購入した図録に、そんなトーベ・ヤンソンのエピソードが書かれてあり、北欧の「寛容さ」を感じ取ることが出来ます。たくさんのムーミンたちの素描を観て感じた、アーティストとしてのこだわりの部分と、そういう場所で生まれ育った彼女自身のエッセンスが、ムーミンのお話にしっかりと染み込んでいるのでしょう。
「この美しい場所は、だれのものなのですか?」「だれのものでもないわ。みんなのものよ。」という会話が出てくるそうですが、北欧には「自然享受権」という慣習法があって、自然(地球)は、所有するのではなく、大切にみんなで共有するという考え方がベースにあるのだそうです。遡れば、日本にもそういう考え方であった時代があったらしいですし、それが当たり前になればきっと争うことなく、誰もが楽しく過ごせるだろうと思います。希望も含めてですが、これからの時代、もしかしたら、少しずつそうなっていくのかもしれないですね。
いろんな前向きな変化を感じつつ。そんな2021年の年明けでした。そしてまた、北欧にも行きたいです。